「ジャングル(Jungle)」は、1990年代初頭のロンドンを中心に、イギリスのアフリカ系カリブ人コミュニティから生まれた電子音楽のジャンルです。
当時のレイヴ・カルチャー(ダンス音楽イベント)の熱狂のなかで、レゲエやヒップホップ、ハードコア・テクノが混ざり合って誕生した、非常にエネルギッシュで攻撃的なサウンドが特徴です。
ジャングルの起源
1990年頃、イギリスのクラブシーンでは「ハードコア」と呼ばれる速いテンポのテクノが流行していました。
そこに、ジャマイカ系のルーツを持つプロデューサーたちが、自分たちのアイデンティティであるレゲエやダンスホールの重低音と、ヒップホップのサンプリング技術を融合させたことがジャングルの始まりです。
都会的で、少しダークで、かつ熱狂的なこの音楽は、当時の多文化なロンドンの空気を象徴するものでした。
音楽的な3つの特徴
ジャングルを定義する要素は、主に以下の3点に集約されます。
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超高速のブレイクビーツ(Amen Break): ヒップホップよりもはるかに速い(150〜170 BPM)テンポで、ドラムのサンプリング音源を細かく切り刻んで再構築しています。特に「アメン・ブレイク」と呼ばれる有名なドラムソロが多用されます。
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地響きのような重低音(サブベース): レゲエやダブの影響を強く受けた、体で感じるような極太のベースラインが楽曲の土台を支えます。
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ラガ(Ragga)の要素: ジャマイカのダンスホール・レゲエで使われる「トースティング(ラッパーのようなボーカル)」のサンプリングが頻繁に取り入れられます。これを「ラガ・ジャングル」と呼ぶこともあります。
ドラムンベースへの進化
1990年代半ばになると、ジャングルはより洗練され、都会的な響きを持つ「ドラムンベース(Drum and Bass / DnB)」へと進化・分岐していきます。
「ジャングル」という言葉がその荒々しい文化的背景を指すことが多いのに対し、「ドラムンベース」はより音楽的な構造やプロダクションのクオリティに焦点を当てた呼称として広まりました。